« チエちゃん(五明氏に捧ぐ) | トップページ | 秩父宮の21期生(もう一つの同期会) »

2004/08/26

ナンバー15

「青鴎」(月間 望星 増刊 2004年春号)p040に、東海大学名誉教授相澤史郎氏の素敵なエッセイと出会った。 「けやきの下で」がそのタイトルだ。 定価980円で購読できる。
 氏の「尊い想い出」のグランドに私も立ったことがある。

 

 センターライン中央のラックから出たボールは、⑨・⑩・⑫・⑬・⑭番と綺麗に繋がり、右ウイングがタッチライン際を走る。 対面の⑪番をスワーブでカットインし、5ヤードラインまで内に切れ込んだ時、相手のフルバックにやられた。 見事な膝下のタックルに我らの⑭番は思わずノックオン。


 「ピィー!」 レフリーの笛がなり、敵陣25ヤードライン上で相手ボールのスクラム。 ここでのブラインド攻撃はありえない。 センターまで回し左タッチラインを狙ったロングパントを揚げてくるはずだ。
 みかたのフルバックに下がれのサインを出し、対処した。

 
 ボールイン、スクラムハーフの投げ入れるボールを正確に相手のフッカーが足で掻き、滑らかにスタンドオフに渡る。 読んだ通り⑩番は蹴らずにセンターに繋いだ。 その時、 急速に相手フルバックがその小太りの体形からは予測できなかったスピードで、上がってくる。 しまった、舐められた。 こんなポイントからライン攻撃、しかもフルバックインだ。


 敵フルバックは絵に描いたように、我々の⑫及び⑬番の真中をまるで王道を歩く如く、走り抜けていく。 ノーマークの奴の目的地は私の守る左コーナーフラッグ。 間違いない。 私はそこに最短距離の道程を選び、走る。

 
 途中、我がナンバーエイトがあっけなくサイドスッテップでかわされ、次いでフルバックが強烈なハンドオフで倒されるを見る。

 
 自陣25ヤード付近でそのフルバックに接近遭遇した。 だがまだ届かない。 タッチラインに追い出すにはゴールラインまでの距離が足りない。 足首へのタックルしかない。 足首だ。


 奴の息使いが聞こえる。 苦しそうだ。 だがこっちも苦しい。 待ってろ、今楽にしてやる。


 私は奴の引き足のかかとに全身を集中し、跳んだ。 と、同時に奴も跳んでる。 私の左の中指が、目の前で裏返った奴の爪先のポイントに触れた。 二人は雨でぬかるんだゴールライン前を胸で滑走する。


「ピィー! トライ!」 レフリーが高々と片手を挙げた。

 

 海水研を通じ、海洋ラグビー部に挑戦状が着ていた。 聞けば、相手の代表は海水研OBと言う。
その頃私は、沼津で作ったラグビー部を後輩に託し、ひたすら水産の道を歩まんとしていた。 本件を現役の主将に連絡し、「必ず勝て」とのエールを送り、観戦の約束をした。


 当日、グランドに赴くとその主将が走りより 「先輩。 ハーフがいないんすよ! 頼みますよぅ。 No.8に一つ足せばNo.9じゃないですか。ネッネッ。」
 勝てるはずがないゲームをしてしまいました。

 

 敵No.15 フルバック 小池さん。 あの節は大変失礼を致しました。 

 せめて、全道大学選手権ベストフォー時の飯塚さんを筆頭に、「泥球会」のメンバーが揃っていれば、あなたの屈辱的な自陣25ヤードラインからのフルバックインは、No.8 バックローセンター 升本の炎のタックル一発で、26ヤード線上で沈んでいたはずです。

 もう一度やりましょう。
 もちろん桜井さんは「泥球」チームです。

2004/06/15 升

| |

« チエちゃん(五明氏に捧ぐ) | トップページ | 秩父宮の21期生(もう一つの同期会) »

ラグビーなお話」カテゴリの記事

興津時代」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ナンバー15:

« チエちゃん(五明氏に捧ぐ) | トップページ | 秩父宮の21期生(もう一つの同期会) »