ラオツ・チェンズゥ(生シジミの醤油漬け)
「シジミは細かいが優、用途は汁!しかも身は食わぬ!」とが、粋な江戸っ子のシジミの食い方なのだ。
日本橋箱崎町に本籍を持つ私も、外食で供された場合、汁だけを啜ることにしている。
が、家の味噌汁は「身」を卑しくそそる。
見栄をはっているだけのことだ。
もう20年も30年も前の定かでない大昔のこと、台湾のとある酒家でプリプリとした食感の味付け殻付生シジミを頂いた。
老酔蜆子(ラオツ・チェンズゥ)と地元では呼ぶらしい。
以来自作を幾度か試みたのだが過去凡て失敗した。
過日、三浦半島南端部にある魚屋で殻長4センチ超の巨大シジミを発見し即購った。
ロシア産らしい。
家族と協議の結果「味噌汁にはもったいない」ことになり台湾のあれに再び挑戦することになった。
今回は少しだけ知識の蓄積があり、砂抜き(水道水に塩を少々入れた容器にシジミを入れ暗くする)後冷凍した。
冷凍処理することによりうま味(アミノ酸)が増加し、一方、寄生虫の類が死滅する理屈で「生ホタルイカ」処置の応用と云える。
次いで水・醤油・酒を鍋に適量入れ潰したニンニクとショウガスライス・唐辛子・出汁の素を入れひと煮立ちさせる。
この漬け汁がタンパク質が変質しない60℃ほどに冷めたころ冷凍シジミを鍋に放り込み、ごま油を垂らす。
漬け汁の中で解凍が進み貝の口がパックリと開き、1時間も漬け込めばおいしいプリプリが口の中いっぱいに広がる。
青ネギを散らすと見栄えが良くなる。
おかずにはおすすめ出来ないが肴には最高!
2012/05/23 升
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