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2023/12/11

海洋学部の通学船

母校東海大清水校舎では、昨年(2022)年4月よりJR清水駅前からキャンパス前まで、東海大学生専用の「通学船」を運航している。
「潮風を感じながら富士山を眺め、運が良ければイルカにも出会える」が売りの「通学船」だ。

東海大は、「三保の水族館」として親しまれた海洋科学博物館と自然史博物館を施設の老朽化を理由に、今年(2023年)3月有料入館を終了した。
同大は、周辺にあった三保文化ランドも2000年に閉園しており、1970年代から維持してきた三保半島先端の「遊んで学べる施設」は全て閉じることになった。

運航は、清水港と西伊豆土肥港を結ぶ駿河湾フェリーの富士山清水港クルーズ㈱に、委託している。
富士山清水港クルーズ㈱は、フェリーの他駿河湾内の観光船やJR清水駅⇔三保への水上バスの運行も行っており、両博物館の事実上閉館に伴う利用客の減少を補う形となったようだ。

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図1 通学船運行図

利用対象は、本学静岡キャンパスの大学生・大学院生等の他、教職員も対象になるらしい。
運航ルートは、JR清水駅前(江尻のりば) ⇔ 折戸キャンパス前(折戸のりば)で、折戸からJR清水駅前行の便はエスパルスドリームプラザ(日の出のりば)を経由する。
いずれも所要時間は約20分。

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図2 江尻のりば(JR清水駅裏)前の観光施設 駅みなと口(東口)徒歩5分 4月にここでカツオを買った。
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図3 江尻乗り場に着岸する「ベイプロムナード号」193t 定員343名

運航日は、2023年度秋学期は2023年9月21日(授業開始日)~2024年1月30日(定期試験最終日)の授業実施日(補講日含む)、定期試験実施日
さらに、運航本数は授業時間に合わせて1日9便程度と完璧に学生生活に密着しており、授業あらば祭日運行も可としている。

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図4 ベイプロムナード号乗船口
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図5 ベイプロムナード号の豪華船内

乗船賃は、①2023年度秋学期定期乗船券 25,000円、②乗船券(10枚1セット)3,000円で、静鉄バスJR清水駅~東海大前(片道25分)運賃340円よりも速いしお得だ。

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図6 望星丸Ⅱ停泊中

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図7 折戸キャンパス前(折戸乗り場)到着

折戸キャンパス1号館1階[スルガベイカレッジ静岡オフィス (総務)内]の会計窓口にて、学生証を提示の上、利用料金を現金にて払う仕組みで、
卒業生だと息巻いても乗せてもらえない様だ。

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図8 岸壁沿いに左に歩き

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図9 ゲートを右折して突き当りがもうキャンパス

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図10 あっという間に正門前
富士山清水港クルーズ㈱は、2022年3月の時点で関係各機関宛てに下記内容の挨拶状を送っていることからも、当該「通学船」運行への意気込みが感じられる。
                     

東海大学さま専用通学船の運行開始のお知らせ

平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
弊社では、2022年4月より江尻~折戸~日の出~江尻の間を東海大学さま専用通学船の運行を開始するため各種準備をしているところです。運行ダイヤに付きましては、東海大学さまからの指定日(授業・試験期間、特別行事等で年間200日程度)を別記時刻表例等により運行いたしますので、ご案内申し上げます。なお、本航路は通学船用航路であり、一般の方にはご利用いただけないため、皆様にはご不便をお掛け致しますがご理解の程、何卒宜しくお願い申し上げます。以上

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図11 帰り船はフェルケル号(18t 定員89名 青色)orケーエス号(15t 定員81名 緑色)


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図12 往路船ベイプロムナード号は係留したまま

運賃は回数券で300円/片道とバスより40円も安い。
一方の定期券はその考え方が面白い。
一般の公共交通機関の「定期券」は、一か月~六か月、月単位の特定区間乗り放題券であるのに対して、「通学船」のそれは、大学の学期+授業日に合わせた日時で発行されている。
案内にあるように、9月21日から翌年の1月31日までの「秋学期」の授業日を75日として往復利用した場合、25,000/(75×2)≒167円が片道料金となって更にお得だ。

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図13 船室はこんな感じ、学生にはちょうどいい
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図14 カモメが付いてくる。海洋学部の学生ならば間違っても餌付けしないように!

問題は、運賃はともかく通学者個人の利便性だけに絞られそうで、現状では、JR清水駅周辺徒歩圏内およびJR利用の通学者しかその恩恵にあずかれそうもない事だろう。
キャンパス内車両乗り入れ自由な時代で、車通学で学生生活を過ごした私には、今の学生生活を伺い知ることは出来ない。

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図15 保安庁がなにか取り締まっている。船体のブルー3本斜線はSの文字。

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図16 日の出乗り場着。土産物屋が集まるエスパレスドリームプラザがある。

昨年から折戸キャンパスに開設された「人文学部」(募集定員180名)と海洋学部の定員と合算すると1学年530名、4学年合計で2,120名、院生・教職員を合わせると総計は2,200名程か?
運行会社では、1日、その総数の1/5の利用者を期待しているという。
そして、その全員が定期券を購入しても年間2,200万円程度にしかならない。

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図17 日の出乗り場(富士山清水港クルーズ㈱ の本社がある)で6分停船後、江尻ふ頭に到着。お疲れ様。
<2023年度秋学期授業期間中(2023年9月21日~2024年1月23日)の時刻表>
Photo_20231211165701※定期試験期間は、定期試験の時間に合わせた運航となります(下記参照)。
※日曜・祝日、夏期・冬期・春期休暇中は運航しません。なお、祝日の授業日は運航します。
※天候等の理由により欠航する場合は、在学生・保護者向けポータル(TIPS)にてお知らせします。
はたして年間2,200万円で船舶を維持できるのかどうか私には判らないが、清水港と三保半島そして海洋学部存続発展のため、静鉄バスと競合しないレベルで、ご尽力願いたいものだ。
2023/12/11 升

引用文献および画像:学校法人東海大学HP内静岡キャンパスより
注)東海大は現在、その昔静岡県清水市折戸にあった「海洋学部折戸校舎」を、静岡市清水区折戸の「静岡キャンパス」と名付けているようです。
なんだか悲しいです。

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